MtSNイベント 「山の基本を知る《山岳遭難とリスクマネジメント》

MtSNの興味深いセミナーに参加してきた。

テーマは遭難。事例はトレランに特化したことではなかったけど、なんとなくトレランに対して感じていたことがようやく見出せた気がしたし、生還者のインタビューというのがすごかった。数々の生きる執念を感じた。

遭難系?著作者羽根田治氏によるイベントだった。あとで調べたら鳩間島にお住まいだとか・・・仕事の都合とはいえ大変だし、いろいろな意味でブルーオーシャンにいらっしゃるようでうらやましい(苦笑)

事例としては近年のものがおおく、とくに埼玉県警山岳救助隊の事例は県警側の資料や当事者・救助関係者の証言なども多く大変興味深いものがあった。こういう知識はもっと公に共有されればいいのにと思うものも多い。

遭難というのは、複合要因で起こるとのこと。確かに単一の障害に対してはある程度代替手段を用意するが、複合になることで、リカバリが機能しなくなることで発生する。当事者からすると悪いことが次々と起こるような状況なのだが、単一の問題で状況が急転してそれまでの準備ではたいおうできなくなるということになるようだ。

特にトレランはどうやら道迷いや誤りが多く、その結果装備が夜をすごすには軽装すぎたり、わかりにくい道標や目印を見落としたり、地図を見るのが遅かったりするケースがおおいようだ。
そうなると登山届などは重要。事前に地図を確認し分岐をチェックしておけばかなりちがうのだろう。迷いにくい周回コースや公園などでないかぎりトレランは迷子になったらの対応を想像して用具を準備が必要だ。

望ましいスキルは
1.登山における行動の基礎知識
2.登山ルールやマナー
3.応急処置
4.地図読み
といったところ。
3.は赤十字か消防署で講習が受けられる。4.は登山関係のお店で扱いが増えている。1,2は知識としてまずはいれておくところかな。あとはベテランさんのお話を聞いたりついていったり・・・


遭難事例で印象に残ったのは
1.雲取山のぶよ(大量すぎて地図が読めない、かまれすぎて歩行困難・・・)
2.ハセツネの滑落事故
3.雲取山にいきたかったが飛龍山からさまよう話

印象に残っていたことは、
1.助かった人はまず運がよかったこと。(遭難した方の執念のようなものも重要だが、救助隊の勘もスサマジイ)
2.迷ったら戻れ、進むな。また、迷子になってから地図を見ては遅い
3.トレランは山の中では(登山と比べて)とてもリスクが高い行為

並べておもったが、何か起きたときいかに心細い状況下というのはわかる。
登山届はできるだけ用意しよう(県境の場合入山場所の管轄へポストするそうです)、迷子になったことを想定して準備はしておこう。

いかに遭難から助かるかという以前にそういうことがならないようにする努力を惜しまないようにしないといけない。どうしても土日は2日しかなくて、天気がいい日がどちらかだと、金曜日忙しくて疲れていても土曜日につっこもうとする。次の日から天気が悪くなるとわかればなおさらつっこむのだろう。無理が無理を呼ぶ気もする。忙しいのは良くない。

登山の方でありトレランの方ではないけれども、含まれていた情報はとても価値のあるものがおおく、トレイルランニングというのが今のところレース先行のスポーツとして広まっていたことに気がつかされた。そのため、レースでなくても何か課題をこなすように大概無理をすることを前提にしがちだと反省。今まで早く走るトレランの技術はいろいろいわれてきたが、安全なトレランの仕方というのは聞いたことがあまりない。大概装備や準備段階での話に始終しており山に入っては危険であることを前提にしているように見える。どうすれば(そんなものは無いけど)無難なトレランができるのか、などが望まれてくるようなきがした。

快適ではないけど、無事につらい思いをせず、すばやく山中を効率よく動く、というのの方法のひとつがトレランだったらいいだろうに。今はM系の人が多すぎるけど。

高付加の、達成感や満足感の高いレースや”俺(私)はやってやったぜ”的無理の多い高負荷なルート設定からはなれた視点が望まれやすい。たしかに限界だとおもっていたところを乗り越えたとき何かが大きくなるのがわかる。慢心かもしれないし、体力自体かもしれない。けれども、いずれ限界は来るし、限界の来る前に運が尽きるかもしれない。


自分がどこまでがんばれるかわからない。もう限界かもしれない思想で無いかもしれない。いずれにしても運が尽きない程度に長く楽しみたい、などということを後になっておもう。少しずついろいろなスキルと知識をふやしていきたい。



イベント告知
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著者のサイト:
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