ピノ・ノワール・セレブレーション・ジャパン・2011 セミナー&ランチョン

7月9日、東京アメリカン倶楽部の地下でおこなわれたピノノワール・セレブレーション・ジャパン2011にいってくる。素人なので楽しみはピノ弁、難しい話は多少わかればよいかなぁという程度。

まず、東京アメリカンクラブ。ここは大変な場所にあった。ロシア連邦大使館とアフガニスタン大使館の近くで、駅からはどこからも500m以上。10時半からのセミナー開始は早いともいえるが遅いような。それにしても、できたばかりで新しい。木がふんだんに使われており、その香りをつよく感じる。

はじまる5分前くらいに行ったが、すでに会場前ではかなりの人たちが並んでいた。中に入ると丸テーブルで10人くらいずつ。ワインはすでに注がれており、おおきな紙でふたがしてある。すでに、ワインメーカーの人たちは着席していた。

左からブシャール、ジャック・プリウール、フェルトン・ロード、ピラミッド・ヴィニャードの醸造担当者とオーナー立ちが順にすわっている。顔ぶれは以下の通り


Domaine Bouchard Pere et Filsフィリップ・プロ(Philippe Prost)
Domaine Jacques Prieur ナディーヌ・ギュブラン(Nadine Gublin)
Felton Road ブレア・ヲルター(Blair Walter)
Pyramid Valley Vineyards マイク・ウィールジング(Mike Weersing)

個人的には、ここにアメリカかドイツの作り手も混ぜてほしかった気もする。が、比べることが主眼なので、今回のテーマでは仕方ない。

ブシャールはボーヌの古い畑の紹介から始まる。Beaune Grèves Vigne de l'Enfant Jésus。ぷるみえくりゅの畑で ボーヌの町から西側の中央に位置しているとか。ルイ14世の誕生を予言した人にちなんで寄進されたとかなんとかだが、畑自体は盛られているのか塀で囲まれており、一段高くなっている。ちょっと、人為的に作られたエリアでは?と思わないでもない。ブシャール初期の段階で入手した畑の一つでブシャールを象徴するものだとか。面白い点はボーヌのなかではどちらに偏ることもないバランスのとれたワインであるとのこと。北寄りでも南よりでもないとのこと。ボーヌのワインのイメージは鉄っぽいイメージなんだけど、それともちょっと違う。

ブシャールは2005年に新たに作った醸造所が話題らしい。はやりのグラビティ・フローを採用して、かつ大小多数のタンクや樽をもっており、同じ畑でも熟成度合いによって分けて醸造するなどを聞く。思ったよりも手をかけていることを知る。

ジャック・プリウールの醸造担当者であるナディーヌの話も面白かった。伝統のことよりも、いかによいブドウを採取し、彼女の好みのワインに仕上げるか、という話だった。テロワールを生かすという表現を好意的にうけとれば、ブドウは作品のモチーフで、醸造家はそれをどう表現するかという画家なのかもしれないとぼんやりおもう。

ニュージーランド組はいろいろ修行して、まず土地探しからの話がメイン。ブルゴーニュをまねても仕方ないので、その地で作られるものに合った味わいを求めているとか。ピラッミドヴァレーのワインは、話している内容と比べてワイン自体が相当とんがっていたような気がした・・・

よいブドウを作るために最適地をさがしているところはよくわかったけど、どんな消費者を意識するかでも相当違うような気がした。ブルゴーニュは保守的だけどテロワールと称して土地の個性を主張できるのは、長年培ってきた経験と知識により、畑や区画単位でどんな強みがあるのかがかなり確立されている点だと知る。これからのびしろがまだあるかどうかなどはよくわからない。伸び城ならNZのほうがあるけど、まだ試行錯誤の段階で確立されたものではなさそうだと感じる。こちらは、まだまだいろんな味に変わりそうだし、どの部分を取り出してNZやその他各地域の味わいとするかは興味がある。

共通していたピノの場合こんなかんじ
1.実を傷つけたくない、破砕したくない
2.あまり急いで作りたくない
3.樽が与える影響は大きいので、樽の使い方は引き出したい個性や好みによって大きく変わる。
4.とにかくブドウの出来が大事。
5.寒暖の差が激しいほうがよい
6.丘の上は土が薄くガンバが出ているなどで、ブドウを育てる適地ではないとか

あと話を聞いてきがついたのは
1.ワインができたかどうかを決めるのはだいたい醸造担当者。センスに大きく依存。
2.テロワール、という表現だと古くからのワイン産地のほうに都合がよい表現かもしれない。ある程度、地域性と味わいが結びついているし、もともとワインを飲む文化や習慣のある地域での話だから。
3.試飲というスタイル自体の疑問。ちょこっとだけ飲んでどれだけのことがわかるのだろうか、ということをセミナーを通して感じる。セミナー2時間とピノ弁1時間の合計3時間、ワインはグラスに残ったままだった。その間、味わいも香りもどんどん移ろっていく。

食事でボトルを開けると、我が家の場合はほとんどその1本通して飲む。温度や空気に触れること、一緒に食べるものによって味わいの感じ方は大きく変わる。最初の一口飲んでおいしい・まずいでおしまい、で点数や評価などが決まってしまうのはどうなんだろう。


ピノ弁!

放送を説いた時の様子と、トマトのスープ、ガーリッククルトン入り



料理はそれぞれおいしかった。たぶん、サーモンの白焼き以外はピノにもあっていた様な気がする。ただ、弁当としての体裁には、まだ修行が必要じゃない?とか勝手なことを思う。これを一つの箱に整理して、密集道を高めることができたら、相当おいしそうな気がしたんじゃないかと勝手に思う。どうも、隙間が気になって量が少ないんじゃないかと、下種なことをちらほら考えたりする。

地鶏のつくね・ピノ山椒、ローストしたホワイトアスパラガス等にのキッシュ、ブッフ・ブルギニオン、卵焼き、ウナギの手毬?寿司、サーモンの白焼き、枝豆(日本へのオマージュらしい)など。


左はドメーヌタカヒコの曽我たかひこ氏
右は今回供されたワインたち。どれも面白い味わいでした。

とはいえ、このイベント形式はよかった。フランス人がフランス人らしくておもしろかったし、ブシャールやプリウールの人たちの、ブルゴーニュの歴史に差し挟む、個人の好みのようなものが透けて見えて、それがまた新しい何かを生み出すような様をみることができた。このイベントがどんどん続くとうれしい、また、シャルドネやシラー、グルナッシュなどでも同様のイベントが開かれるようになったら面白いだろうななどとかってなことおもう。

個人的には、このイベントは司会の人がうまかったと思う。信頼関係を結んだうえでの珍問・難問とやりとりは面白かった。トータルでいってよかったし、もっとワインを知りたいと刺激される機会でもあった。

もっと、こういう機会を得てたのしんだほうがよいのかな。

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