[本]アンリジャイエのワイン造り ジャッキー・リゴー著作

彼のワインは読んだことはない。が、彼のスタイルを受け継いでいるとされる作り手は何人か飲んだ。この本を読んでいると、ここで彼の語ったことはブルゴーニュの保守的な主流に位置しているような気がした。彼のやり方は、彼の時代では原理主義者のようにみられていたようだが、今となってはそれは主流の考え方のように思われる。畑には手間がかかっても手を入れる。トラクターではなくおもに人力で。

彼が影響を受けた人に、ルネ・アンジェルを挙げていることに驚く。たしかに、彼のドメーヌは相続税などの問題から消滅し、今はボルドー系の会社に買収されて、なんだか高い値段のワイン、しかもアメリカ人が好みそうなたる風味たっぷりなかんじになっていた。その前は優れた作り手として名を挙げており、しかもピノノワールのお手本のような果実味とバランスを持っていると思う。ひょっとしたら同じような系統を期待してもよいのかなぁとか期待してしまう。

彼が推奨しているのは、リュット・レゾネ
村名以上のワインでは新樽(フランソワ・フレール)100%。ACブルゴーニュではそのたるを使いまわすが手間は変わらなかったとか。ボトルづめを始めたのは1973年から。これは石油ショックの影響でネゴ思案が買い上げをしなかったからとか。
選果台、低温マセレーション、マッサル選抜、ルモンタージュ
アッカド、ビオディナミ、カリウム、ロバートパーカーには否定的。

意外に面白かったのは、ガメイ導入の経緯と、ガメイを抜くように命じたブルゴーニュ公国のフィリップ豪胆公の話。ヒュー・ジョンソンのワインの歴史には触れらていなかった話でもある。害虫に対する対策として見出されたのがガメイという点は、導入時点でも非常に人の都合である。

とはいえ、この本はブルゴーニュ産のワインを知ろうとするにはよくできた本だと思う。作り手が何に注意しているのかとか、何を見ているのか、などなどが整理されて書かれている。

ドミニク・ラフォン、ディディエ・ダグノー、マルク・クライデンヴァイス、ジョセフ・ロティ、アラン・ビュルゲ、などの名前がポジティブにでてくる。

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