Bolinger R.D.[1990]

ひさしぶりのボランジェ、でもはじめてのRD。おいしかった。


シャンパーニュは嫌いだ。マーケティングが進みすぎて人の懐具合を見透かしたような商売ばかりしやがって、と思う。それに、アベレージでみると値段ほど美味しくないのもわかっていることもある。もっとおいしいスプマンテもカヴァもスパークリングワインも世の中結構入手しやすいところで購入できる。

だが、数年に一度すごいやつを飲んでしまうと!となってしまい嬉しいんだか悔しいんだかわからない気分になるやつがある。というのがこの一本だった。購入は数年前の楽天だったが何かのセールのときに買ったうちの一本で頼んだものとは違うものが化粧箱に入っていた代物だった(気がついたのは数ヶ月後)。

ピノ・ノワールが強めで69%、残りがシャルドネ31%。RDとはRecemment Degorge(レサマン・デゴルジェ)のことだとか。

コルクの状態はまだよく抜いたときから、一般的なシャンパーニュと比べると優雅な香りが漂う。香ばしい小麦やナッツに少しぶどう自体に近いフルーツ感がたっぷり。飲んでみるとやや甘みを感じるがどっしりとした重めの酒質でゆっくりといただくのが吉という感じ。泡もゆっくりとうきあがり、息も長い。
昔々、ジャック・セロスのシェブスタンスを初めて飲んだときのようなゆったりとした時間が流れている気がした。香りと味わいとコクというか口の中での厚みがすごい。クリュッグ1996を飲んだときと同じくらい感動した。

調べてみると11年熟成してから出荷前によどみを抜いて出すのだとか。通常3年のところ4倍弱の期間をかけてだしているからおいしい(高い)んだーといったことが書いてあった。その淀みを抜いたのが2004年1月というもの。そこから10年以上どこかにあって我が家に来たということは、保管に問題がなければ15年位は全然平気な気がしてきた。

シャンパーニュは本当にたちが悪い。散々諦めていると突然すごいのがやってくる。そして期待値が上がりまたしばらくがっかりする。しばらくはシャンパーニュ自体を飲まないようにしようと思った。次に開けるシャンパーニュは間違いなくがっかりすることがわかっているから。

Bolinger:http://www.champagne-bollinger.com/